2009.07.06 (Mon)
見張り塔からずっと 重松清著 読書感想文 その3
「見張り塔からずっと」の短編2つ目が「扉を開けて」です。
突然死によって子供を失った夫婦の物語なんですが、そこに同じ名前で生きていれば同じ年という子供を登場させて、夫と妻の亡くした子供に対する痛みを繊細に描いていました。
父親になりきれなかった主人公の心理描写が素晴らしくて、心にビシビシと突き刺さってたまらないです。
「私は手を伸ばして、健太の頭を撫でていた。しようと思ってそうしたのではなく、気がついたら掌が髪の毛に触れていたのだ。
初めてのことだった。離れて見ていたときには、短い髪の毛は針のようにツンツンとした印象があったが、実際触ってみるとずいぶん柔らかだった。」 【扉を開けて参照】
こんな描写がところどころで絶妙の効果を表してくるものですから、うわぁ…とため息を洩らして読んでしまうのです。
埋まらない心の隙間が生きていると出来てしまうことがあります。私にもあるしあなたにもあるでしょう。
そんな心の内を理解してくれる人がいるっていうのは、少しだけ安らぎになるのかなと思える作品でした。
■関連記事はこちら。
⇒見張り塔からずっと 重松清著 読書感想文 その5
⇒見張り塔からずっと 重松清著 読書感想文 その4
⇒見張り塔からずっと 重松清著 読書感想文 その2
⇒見張り塔からずっと 重松清著 読書感想文 その1
⇒重松清 全作品著作リスト
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